京都の半導体製造装置メーカー「サムコ株式会社」の米国オプトフィルムス研究所に勤める菅原さん。肩書はシニアマネージャですが、実際は研究開発、装置のフィールドサポートから総務関連まで、何百にも渡るタスクをこなすプレイングマネージャです。実務を遂行するにあたっては、様々な問題解決が必要なため、その礎となる「情報収集」は重要なスキルです。 ここではそんな菅原さんに、日々実践されている情報収集の考え方を教えていただきます。

修了生プロフィール

菅原 卓也 さん
サムコ株式会社 オプトフィルムス研究所 シニアマネージャ
工学博士
13年 BBT大学大学院 グローバリゼーション専攻修了
17年 BBT大学大学院 アントレプレナーCertificateプログラム修了

BBT大学大学院で、大前学長科目や英語科目のTAを担当。問題解決思考ワークショップセミナーや、ピンポイント講座【BBT大学院流「問題解決法(PSA)」 基礎編】の講師を務める。

半導体製造装置プロセスに関する特許取得、学術論文、学会発表多数。
スタンフォード大学客員研究員などを経て現職。
カリフォルニア州 ロスアルトス市在住。

「学業は学んで終わりではない」をモットーに仕事の結果や数字につなげるまでのプロセス実験を夫婦共通の趣味として現在の仕事の目標達成までつなげている。
06年~13年までの8年間は、博士課程やMBAを取得するためにプライベート時間のほぼすべてを学業に費やし、自己研鑽にあてる。MBA取得後、数年経った現在でもTA業務に週20時間以上を費やし、後身の指導に熱心にあたる。なお、週20時間以上のTA業務は本業とは別の時間としてである。
旅行やレジャーも息抜きとして楽しみ、ヨセミテのハーフドーム登頂(写真)や日蝕観測(写真)などのイベントごとも大切にしている。

CASE1 答えのある問題は徹底的に形式知化

「答え」を「情報」として整理する

米国の拠点である西海岸オフィスには日本人が私一人しかおらず、言語、時差、締め切りの関係から、自身でイニシアチブをとって問題解決に取り組むケースが多いです。タイムリーに的確な問題解決を行わないと顧客や日米の社員双方に迷惑をかけてしまいますし、結果にもつながりません。そのため、私は日ごろから「情報収集」をとても大切にしています。ここでは現場で実践している効果的な情報収集の考え方をお伝えできればと思います。

まず大切なのが、問題には「期限」「予算」「相手」という制約があることを認識することです。必要な情報をすべて集めることは時間的・コスト的にも現実的ではなく、相手の出方や情報をすべてあらかじめ集めることも本質的に不可能です。
したがって、適切な量と質の情報を素早く集めることが大事になります。

また、問題は「答えのある問題」と「答えのない問題」の2つに大別されます。
ビジネス・ブレークスルーでは、「答えのない時代」の教育を行っています。こうやったら必ずうまくいくという「正解」は無いことは業務で身をもって経験しています。私は、だからこそ、なるべく多くの問題に対して「答え」を準備しておき、答えのない本当に難しい問題に注力できるようにしようというマインドセットで業務にあたっています。

情報整理ツールの活用

私は米国の顧客に納めた装置の故障対応などのフィールドサポート業務も担当しています。装置故障は技術的な原因が必ずありますから「答えのある問題」に分類ができます。都度、故障した際の対応やノウハウといった「答え」を「情報」として整理して手元に持っておき常に使用可能な形式知にしておくと、類似例が出たときに素早く問題を解決することが可能となりますし、事前に問題の芽を摘んでおくことにも役立ちます。
私は、情報整理には、紙のシステム手帳と、DropBoxによるフォルダ管理と、Jootoというクラウドツールの3つを使っています。

実際に情報整理で使用しているシステム手帳

紙のシステム手帳とDropBoxには、MECEが組みやすいように、顧客単位で情報を管理しています。
メールなどのフロー情報は紙のシステム手帳、手順書や仕様書や見積もりなどのストック情報はDropBoxでフォルダ管理、というのが大きな区分けです。
システム手帳は半年前から使い始めました。以前はJootoを使っていたのですが、メモ程度の絵を描く必要があるケースが多く、また、西海岸のオフィスには日本人は私一人なので、デジタル化して共有するメリットも極小なため、手書きが一番効率が良いのです。フロー情報はメールや打ち合わせで生じますから、その日時を記入し、後で参照しやすいようにしています。
技術情報は、ハード軸、ソフト軸、プロセス軸、サプライヤ軸など、多次元の情報になりMECEが組みにくいため、検索や入れ替えが容易なJootoを使っています。重いストック情報はJootoにフォルダのリンクやメールの日時を記入し、必要に応じて参照先に飛べるようにしています。
印刷物は情報整理のために一時的な使用にとどめ、使い終わったらシュレッダーにかけたりPDFにしたりして、印刷物での情報管理は極力減らすように意識をしています。

CASE2 答えのない問題は流れと重み付け

流れで情報を整える

続いて、答えのない問題の情報収集についてお伝えします。
答えのない問題と言われてもピンとこない方が多いと思いますので、例を使って説明いたします。
顧客A社から新しい商談としてB製品のお話を頂いたとします。弊社の取り扱っている半導体製造装置は非常に複雑な産業機械で、また、化合物半導体という材料を取り扱うことから、顧客ごとに要望が異なり、カタログ仕様の標準ではまかないきれない要望を求められるときがあります。
最初の相談段階では、A社自身もB製品がA社の需要に合うかどうかを模索している状態ですし、弊社としてもこの商談が見積もりや特殊要望特の調査にリソースを割く価値があるものかどうかを判断しないといけません。

この商談を受けるのか受けないのか、どのぐらいリソースを割くべきか、これはあらかじめ決まった答えはない「答えのない問題」と分類できます。答えを新たに作っていく類の問題、と言い換えることができると思います。

こういったケースでは以下のようなフレームでまず状況を整理します。
フレーム1:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績がある
フレーム2:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績がない
フレーム3:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績があるかどうかわからない

フレーム1〜3はMECE(もれなくダブりなく)ができているので、大(全体)を3つに分解しています。すなわち大→小の流れで情報を整理しています。

フレーム1はCASE1で述べた答えのある問題です。手元の情報を整理して価格、納期はある程度の確度で出せます。その情報をA社に示すことで、次の情報収集、すなわち、A社の観点からのB製品の仕様・価格・納期の適切性や、A社の予算・計画などを知ることができます。

フレーム2のケースであれば、手元の情報からフェルミ推定をします。フェルミ推定というのは、「今世界で睡眠を取っている人は何人いますか」というような、わからないことを定量的に推定する方法です。単純に、人は一日に8時間程度睡眠を取りますから、8時間/24時間×世界の人口である程度の確度を持つ数値が出ます。太平洋のど真ん中が昼か夜か、という寄与も大きいでしょう。そういう形で、いくつかの側面から定量的なフェルミ推定、時には定性的な他の方法の推定を行い、フレーム1と同様にA社にその推定をあててみて反応を見ることで、次第に商談の優先度や進める上でのポイントが絞れていきます。
フレーム3のケースも、基本はフレーム2と同様に進めますが、並行して社内のベテラン社員などにヒアリングをかけていきます。
フェルミ推定は難しいと思いますが、そういった方法を意識しながら業務経験を積んでいけばできるようになります。

上記の手順は、顧客からの問い合わせ→弊社の一次回答→顧客の抱える具体的な要望や予算、計画の調査というかたちで、時間を追って精度を上げていますので、時間軸で情報を集めています。

上述の例とは逆に、いきなり小さな所、すなわち、すべての商談において最初からB製品の仕様・価格・納期の情報を完璧に集めようとするのは効率が良いとはいえません。また、時間軸を無視して、弊社からの情報を出さずに顧客からの情報を取ることに専念すると、顧客も不安がってしまうことがあり、次の展開にスムーズに移行できなくなる恐れがあります。

上記は私の実務を通した例ですが、MBA的というか、経営者的な視点で言えば、大きな情報、時間軸というのは市場規模や自社のシェアの四半期ごとの推移や、国別の市況の変化を見たりすることになります。

価値ある情報を探すための取捨選択

「大→小」「時間軸」と並んで大切なのは「情報の取捨選択と重み付け」です。
イメージとして「情報の深まり」と「情報の広がり」の2軸をとって考えてみましょう。下記の図のようにまんべんなく面が広がっていくような情報収集では、時間とお金がいくらあっても足りません。
私の業務で例えれば、細かい仕様などは私も知らないことがあるので、エンジニアに問い合わせます。しかし、時には新たに予算を組んで調査・実験をして調べなければ得られないデータが必要なこともあります。したがって、わからないことをすべて完璧に調べようと手配していては、私もエンジニアもパンクしてしまいますし、締切に間に合わなかったり、ときには社内外のチームワークを乱してしまいます。

他方、効率的な情報収集のイメージは以下のようないびつな形をしています。一部の情報項目については深く掘っていき、それ以外は途中で収集を思い切って止めてしまうのです。

では、どこを深掘りし、どこを止めるべきか、という事が重要となりますが、そこは先程述べた、わかっていること、推定、顧客の反応の3つから判断します。この3つを組み合わせてクイックに情報収集を回すこと繰り返し、短期間で深掘りすべき課題を明らかにしていきます。
その結果、当初の「商談を受けるのか受けないのか、どのぐらいリソースを割くべきか」という、ぼやっとした問題が、「○○という特性を△△の条件下で、□□の予算内で▽▽までに出来るかどうか」という焦点の絞れた課題にまで落とし込むことが可能となり、計画性を持つようになってきます。

決めた答えを正しくする

もはや絶対解が存在しない世の中においては「決める」ことと、決めたらそれが「正しくなるように努力する」ことの方がはるかに重要です。失敗したらどうしよう、間違っていたらどうしようと、どんなに分析を深めたとしても、決めることにおいて不安は常につきものですし、どんなに完璧と考えた判断や計画でも、実行に移したら必ず壁にぶつかります。
ですので、デッドラインまで最善を尽くして自分なりの最適解を出し、それからは突破力に集中しようとう「覚悟」を持つようにしています。

Interview1:学びを振り返って
――社会的価値を伸ばす生き方

そうだ、学びの旅を続けよう

私は元々エンジニアで、BBT大学院に入る前に工学系の社会人博士課程を3年間かけて卒業、スタンフォード大学の客員研究員も二年半過ごしました。
もう学びは終わりだと思っていたのですが、実は長い間、大前研一学長のもとでマネジメントを学びたいと心の奥底で考えていたんです。憧れに近い形だったかもしれませんね。
20歳で初めて選挙権を得たのが参議院選でした。ネットもない当時、限られた情報ソースでどこに投票しようと色々と調べていて、他の政党とくらべて本質的な政策を提言している平成維新の会を知り、そこから「大前研一」という名前を知りました。以来、学長の書籍を読み漁っていました。その過程でマッキンゼー流の本質的問題解決手法やマネジメントの考え方を学べたらかっこいいな、おもしろそうだな、と何となく思うようになっていきました。

2010年秋に博士課程を修了した直後の2011年のお正月、「自分ももう学校通いは終わりました」と何気なく家族に話したとき「やり残していることがあるんじゃないの」という意外な反応が返ってきたのです。正直学びの大変さは痛感していたので、また続けるのも…という迷いがありましたが、やるならストライクゾーンど真ん中で勝負したほうが後悔がないと考え、覚悟を決めました。

MBAで学んだことは知識ではなく学び続ける姿勢

BBT大学院は実践的な学びにフォーカスしていますので、経営の原理原則だけでなく、そのセオリーをどうやって使うか?というアウトプット部分まで一気通貫でトレーニングできます。非常に充実した2年間だったのですが、その中でも最も大きな学びとなったのは、学び続けることの大切さでした。

正直申し上げますと、今回お伝えしたような情報収集の考え方やスキルといった「自分の型」は、卒業後も継続して復習や新規受講をしたり、ビジネス・ブレークスルー大学大学院でTA(ティーチングアシスタント)や講師をしたり、現在の職場環境の中でいろいろな経験をする中で身についていったものです。在学中もその概念は教わっていて、アウトプットを出すなかで鍛えていたつもりだったのですが、それを業務で使いこなせるようになるには、私なりに適した時間と努力と職場環境が必要でした。こういった自分の型は今後も学びを続ける中で進化、発展させていくものだと思っています。ですので、このような知的活動に対して多大な理解を示し、応援してくださる弊社の辻 理(つじ おさむ)CEOをはじめ、サムコ株式会社の皆さんには大変感謝をしております。

これからは社会的価値をさらに高めていきたい

私は「人間の価値」には大きく分けて3つあると考えています。一つは皆さんご存知の通り市場的価値があります。これはお金をいくら稼げるかという価値ですね。そして社会的価値というものあるかと思います。これはお金では測れないものです。例えば、「一緒に仕事をできて良かった」「精一杯がんばってくれてありがとう」などと言われる意味での価値です。もう一つは戦略的価値というもので、それはまだ顕在化していないものの、その個人の中で着々と育まれている根っこみたいな価値です。

私はいま、社会的価値と戦略的価値を高めるような取り組みに注力したいと考えています。ビジネス・ブレークスルー大学院でTAをやっているのも、母校への恩返しがしたいということだけではなく、この2つの価値を高めたいと思っているからです。現在は年収がいくらほしいとかこの立場になりたいとかの市場的価値は少し脇に置いているところです。人生という長いスパンで見たとき、自分の社会的価値を高めることがいずれかけがえのないリターンになるという考えを持っていますし、TAを通じて学びを続けていけば、きっとどこかで社会的価値や市場価値の形で顕在化するものと信じてやっています。

自分は経営者でもないのに大前研一学長の経営戦略系科目でTAを担当しており、昔はどこかおこがましい気持ちや自分で本当に良いのかという葛藤がありました。
しかしながら、学生の方から「菅原さんのおかげで学長が言いたいことがわかりました」「学びと仕事の連携の仕方がわかるようになりました」と言われることが増え、徐々に自信がついてきました。それに伴い、社会的価値が少しは高まったかなとも感じます。今はある意味「プロ」のTAとして、大前学長の考え方を丁寧にわかりやすく、かつ実社会で効果が出やすいように受講生に伝えることが、自分の社会的な務めだと捉えています。

BBT大学院には「Lifetime Empowerment」という標語があります。これは「生涯活力の源泉」という意味です。大前学長的に言い換えれば、「一生学び続けろ!」ということでしょうか。その言葉を信じて、戦略的価値も引き続き高めていきます。

問題解決思考ワークショップの講師として登壇

Interview2:周囲の評価
――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


菅原 いずみさん / 菅原さんの奥様

妻だけが知る!BBTに取り組む夫の様子

BBT大学院のMBAを通じて夫は様々な面が変わりました。
先の本人のインタビューでは主にビジネス面の考え方に焦点が当たっていたので、私からは彼のプライベートの面を、いくつかお話ししたいと思います。夫は自分が決めたことは最後まで手を抜かずやりきらないと気のすまない性格です。ですので、BBTで徹底的に学ぶには、仕事との両立をどうしたら良いのか苦心していました。もともと探求心が旺盛で、トライ&エラーを繰り返すことを苦とも思わないようでしたが、傍で見ていて呆れるくらい色々な勉強方法を試していました。タイムスケジュールのチャート表を作成しインターネットのツールを活用してみたり、ブレインストーミング風に講義ごとにまとめたり、ボールペンと鉛筆とシャーペンのどちらが良いか、ノートの使い方もタテが良いかヨコが良いか(笑)、どうしたら効率良く学べるかを模索しながら、BBTの課題に向き合っていました。
現在夫は、大前学長科目のTA(ティーチングアシスタント)を担当させていただいているのですが、そんな自身の多種多様な経験が、学生さんの立場に立った気づきやアドバイスに役に立っているのではないかと思います。
また、BBTで学んだリーダー論を活かし、会社やBBT、日常生活でも、どのようにアドバイスをすれば相手にとって最善の気づきになるのか、どんなアプローチから話を持っていけば相手のモチベーションをあげられるか、以前の彼からは想像もできないくらい周りをよく観察し、相手の性格や考え方を理解し、その時々で対応を変えるようになった気がします。
無意識だと思いますが、私に対しても同じように「観察⇒ヒアリング⇒アドバイス」を仕掛けてくるので時々イラッとしてしまうのですが、結果がついてきてしまうので「すごいね、ありがとう」と言うしかありません。

人付き合いが変わりました

BBTに入学する前は、この人は意外と一匹オオカミ的な性格だな、それでは行き詰まった時に助けてくれる人はいるのかな、と不安になることがあったのですが、その性格は在学中から少しずつ変わりました。
これはBBTを通し、同じ目的の中で膨大な課題に向き合い、励まし切磋琢磨した仲間を得たからだと思います。あまり人脈作りが得意でない彼でしたが、エアキャンパスという新しいツールが人間関係や友情を築き上げるのに一役買っていたと思います。そしてそれは、卒業後には何物にも変えがたい宝物になっていたようです。傍らで見ていてとても羨ましく思えました。
今でも同期の方やBBT出身の方とは、よく連絡を取り合い、時間があれば会うなどして情報交換をし、励まし合っているようです。以前とは違い、高いレベルで相談でき、助けてくれる仲間を多く持つことができたことは、彼の強みになり、自信に繋がっているように見えます。大人になってからそういう仲間を作ることができることは、BBTならではですね。
常に前向きで、何事も諦めず、なんでも吸収したいという意欲で学びを続けている夫を見ていると、すでに40代中盤に差し掛かるにも関わらず、これから先が楽しみに思えてなりません。

夫との会話を通じて覗くMBAの世界、気づいたら興味津々

それともう一つ大きな変化があります。それは受講前と比べて社会や経済の話をするのがとても楽しくなったことです。BBTの受講を始めるときっと時間がなくなりコミュニケーションの量が減るのだろうな、と想像していました。まとまった時間をとることは確かに難しくなったものの、食事をしながらの会話や、RTOCSでテーマになった店舗や自治体へ実際に行って意見を出し合う、など以前には想像したことのない次元の、濃く充実した時間を過ごすことができるようになりました。
また、夫が勉強する傍でRTOCSや講義を聞いていると、情報量や知識量がどんどん増えていき、私自身興味が沸き、気づけば自然と夫の学びを応援したい気持ちが増していました。

本人からしたらBBTでの学びは驚きと発見の連続だったのでしょうね。話さずにはいられないというか… ただでさえオンラインディスカッションでのアウトプット量が多いのに、家庭内でもまだアウトプットするのか?と思うこともよくありました。本当によく話すこと、よく話すこと!学んだこと、考えたことを一度口に出して、つまり言語化することで本人は頭の中を整理していたのだと思いますが・・・
常に学んだこと、考えたことをすぐに「話したい」、「実践したい」、という性格なので【学び→実践→効果】について逐一話してくるのです!小学生が今日学校であったことを母親に一生懸命話す姿に似ていて、子育て中の義母は大変だったろうな、と思ったくらいです。それでも私にとっては普段の生活では知り得ないMBAの世界を垣間見られること、耳学問的ではありますがちょっとお利口になったような気にもなれて、刺激的なインプットになりました。RTOCSなど、想像の上をいくような話が今も色濃く記憶に残っています。

夫には心からよくやったね!と言える、私も本当に充実した日々でした。

そしてBBTを通して、今もわくわくは続いています。夫は卒業後TAとして現役の受講生に対して学びをサポートしたり、議論のファシリテートをしたりしています。
現役時代と同じように、オンラインディスカッションでの出来事を今もよく話してくれます。また、受講生との接し方を相談されることもあります。「ちょっとストレートに言い過ぎたかな…どう思う?」など。それに対して私は思ったこと、感じたことを伝えるようにしています。夫はそれをしっかり受け止め、消化し、次のフィードバックに活かしてくれます。単なる聞き役としてだけでなく、夫の役に立ち、そして間接的には受講生の皆さんを応援している形になっているのかな、と思えることがあります。ですので、BBTの修了生が増えるととても嬉しいのです。
またBBTに関して「私、得しているな」と思えることがあります。それは大前学長の「大前研一ライブ」です。夫が視聴している隣でこっそり学長の話を聞いていると、リアルタイムの世界情勢や経済がとてもよくわかるのです。世の中の新聞やニュースは、物事の本質を理解しきっていない人が書いているのか、表面だけしか見ずに伝えているのかよく分かりませんが、大前学長が説明するといとも簡単にわかりやすく理解できてしまうから不思議で楽しいのです。さらにお堅い話だけでなく、ワインや日本酒などのお酒の話や、おしゃれなグロッサリーストアの情報など主婦としてとても関心がある話題も出てきて、とにかく面白いのです!

お金の心配がなくなった

これは、お金が沢山たまったというのではなく、夫がどんな状況でも稼ぐ力を身につけてくれた気がして、安心感が得られたということです。
変化が激しく、かつ100年生きる時代がきていると言われる社会において、BBTで得た様々な能力や人脈はとても心強く感じています。実際、以前だったらへこたれたり、無理をしてしまうような状況を精神的に安定した状態でつき破ったり、適度にかわしている様子が伺え、力強さとしなやかさが増したように思います。

一言で要約すると、BBTのお陰で夫婦ともどもとても充実しています。私たちの世界は想像以上に広がり、多くのご縁もいただいています。ですから夫にもBBTにも、心からありがとう!と思えるのです。


京都の半導体製造装置メーカー「サムコ株式会社」の米国オプトフィルムス研究所に勤める菅原さん。肩書はシニアマネージャですが、実際は研究開発、装置のフィールドサポートから総務関連まで、何百にも渡るタスクをこなすプレイングマネージャです。実務を遂行するにあたっては、様々な問題解決が必要なため、その礎となる「情報収集」は重要なスキルです。 ここではそんな菅原さんに、日々実践されている情報収集の考え方を教えていただきます。

修了生プロフィール

菅原 卓也 さん
サムコ株式会社 オプトフィルムス研究所 シニアマネージャ
工学博士
13年 BBT大学大学院 グローバリゼーション専攻修了
17年 BBT大学大学院 アントレプレナーCertificateプログラム修了

BBT大学大学院で、大前学長科目や英語科目のTAを担当。問題解決思考ワークショップセミナーや、ピンポイント講座【BBT大学院流「問題解決法(PSA)」 基礎編】の講師を務める。

半導体製造装置プロセスに関する特許取得、学術論文、学会発表多数。
スタンフォード大学客員研究員などを経て現職。
カリフォルニア州 ロスアルトス市在住。

「学業は学んで終わりではない」をモットーに仕事の結果や数字につなげるまでのプロセス実験を夫婦共通の趣味として現在の仕事の目標達成までつなげている。
06年~13年までの8年間は、博士課程やMBAを取得するためにプライベート時間のほぼすべてを学業に費やし、自己研鑽にあてる。MBA取得後、数年経った現在でもTA業務に週20時間以上を費やし、後身の指導に熱心にあたる。なお、週20時間以上のTA業務は本業とは別の時間としてである。
旅行やレジャーも息抜きとして楽しみ、ヨセミテのハーフドーム登頂(写真)や日蝕観測(写真)などのイベントごとも大切にしている。

CASE1 答えのある問題は徹底的に形式知化

「答え」を「情報」として整理する

米国の拠点である西海岸オフィスには日本人が私一人しかおらず、言語、時差、締め切りの関係から、自身でイニシアチブをとって問題解決に取り組むケースが多いです。タイムリーに的確な問題解決を行わないと顧客や日米の社員双方に迷惑をかけてしまいますし、結果にもつながりません。そのため、私は日ごろから「情報収集」をとても大切にしています。ここでは現場で実践している効果的な情報収集の考え方をお伝えできればと思います。

まず大切なのが、問題には「期限」「予算」「相手」という制約があることを認識することです。必要な情報をすべて集めることは時間的・コスト的にも現実的ではなく、相手の出方や情報をすべてあらかじめ集めることも本質的に不可能です。
したがって、適切な量と質の情報を素早く集めることが大事になります。

また、問題は「答えのある問題」と「答えのない問題」の2つに大別されます。
ビジネス・ブレークスルーでは、「答えのない時代」の教育を行っています。こうやったら必ずうまくいくという「正解」は無いことは業務で身をもって経験しています。私は、だからこそ、なるべく多くの問題に対して「答え」を準備しておき、答えのない本当に難しい問題に注力できるようにしようというマインドセットで業務にあたっています。

情報整理ツールの活用

私は米国の顧客に納めた装置の故障対応などのフィールドサポート業務も担当しています。装置故障は技術的な原因が必ずありますから「答えのある問題」に分類ができます。都度、故障した際の対応やノウハウといった「答え」を「情報」として整理して手元に持っておき常に使用可能な形式知にしておくと、類似例が出たときに素早く問題を解決することが可能となりますし、事前に問題の芽を摘んでおくことにも役立ちます。
私は、情報整理には、紙のシステム手帳と、DropBoxによるフォルダ管理と、Jootoというクラウドツールの3つを使っています。

実際に情報整理で使用しているシステム手帳

紙のシステム手帳とDropBoxには、MECEが組みやすいように、顧客単位で情報を管理しています。
メールなどのフロー情報は紙のシステム手帳、手順書や仕様書や見積もりなどのストック情報はDropBoxでフォルダ管理、というのが大きな区分けです。
システム手帳は半年前から使い始めました。以前はJootoを使っていたのですが、メモ程度の絵を描く必要があるケースが多く、また、西海岸のオフィスには日本人は私一人なので、デジタル化して共有するメリットも極小なため、手書きが一番効率が良いのです。フロー情報はメールや打ち合わせで生じますから、その日時を記入し、後で参照しやすいようにしています。
技術情報は、ハード軸、ソフト軸、プロセス軸、サプライヤ軸など、多次元の情報になりMECEが組みにくいため、検索や入れ替えが容易なJootoを使っています。重いストック情報はJootoにフォルダのリンクやメールの日時を記入し、必要に応じて参照先に飛べるようにしています。
印刷物は情報整理のために一時的な使用にとどめ、使い終わったらシュレッダーにかけたりPDFにしたりして、印刷物での情報管理は極力減らすように意識をしています。

CASE2 答えのない問題は流れと重み付け

流れで情報を整える

続いて、答えのない問題の情報収集についてお伝えします。
答えのない問題と言われてもピンとこない方が多いと思いますので、例を使って説明いたします。
顧客A社から新しい商談としてB製品のお話を頂いたとします。弊社の取り扱っている半導体製造装置は非常に複雑な産業機械で、また、化合物半導体という材料を取り扱うことから、顧客ごとに要望が異なり、カタログ仕様の標準ではまかないきれない要望を求められるときがあります。
最初の相談段階では、A社自身もB製品がA社の需要に合うかどうかを模索している状態ですし、弊社としてもこの商談が見積もりや特殊要望特の調査にリソースを割く価値があるものかどうかを判断しないといけません。

この商談を受けるのか受けないのか、どのぐらいリソースを割くべきか、これはあらかじめ決まった答えはない「答えのない問題」と分類できます。答えを新たに作っていく類の問題、と言い換えることができると思います。

こういったケースでは以下のようなフレームでまず状況を整理します。
フレーム1:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績がある
フレーム2:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績がない
フレーム3:過去にA社の要求を満たしたB製品の実績があるかどうかわからない

フレーム1〜3はMECE(もれなくダブりなく)ができているので、大(全体)を3つに分解しています。すなわち大→小の流れで情報を整理しています。

フレーム1はCASE1で述べた答えのある問題です。手元の情報を整理して価格、納期はある程度の確度で出せます。その情報をA社に示すことで、次の情報収集、すなわち、A社の観点からのB製品の仕様・価格・納期の適切性や、A社の予算・計画などを知ることができます。

フレーム2のケースであれば、手元の情報からフェルミ推定をします。フェルミ推定というのは、「今世界で睡眠を取っている人は何人いますか」というような、わからないことを定量的に推定する方法です。単純に、人は一日に8時間程度睡眠を取りますから、8時間/24時間×世界の人口である程度の確度を持つ数値が出ます。太平洋のど真ん中が昼か夜か、という寄与も大きいでしょう。そういう形で、いくつかの側面から定量的なフェルミ推定、時には定性的な他の方法の推定を行い、フレーム1と同様にA社にその推定をあててみて反応を見ることで、次第に商談の優先度や進める上でのポイントが絞れていきます。
フレーム3のケースも、基本はフレーム2と同様に進めますが、並行して社内のベテラン社員などにヒアリングをかけていきます。
フェルミ推定は難しいと思いますが、そういった方法を意識しながら業務経験を積んでいけばできるようになります。

上記の手順は、顧客からの問い合わせ→弊社の一次回答→顧客の抱える具体的な要望や予算、計画の調査というかたちで、時間を追って精度を上げていますので、時間軸で情報を集めています。

上述の例とは逆に、いきなり小さな所、すなわち、すべての商談において最初からB製品の仕様・価格・納期の情報を完璧に集めようとするのは効率が良いとはいえません。また、時間軸を無視して、弊社からの情報を出さずに顧客からの情報を取ることに専念すると、顧客も不安がってしまうことがあり、次の展開にスムーズに移行できなくなる恐れがあります。

上記は私の実務を通した例ですが、MBA的というか、経営者的な視点で言えば、大きな情報、時間軸というのは市場規模や自社のシェアの四半期ごとの推移や、国別の市況の変化を見たりすることになります。

価値ある情報を探すための取捨選択

「大→小」「時間軸」と並んで大切なのは「情報の取捨選択と重み付け」です。
イメージとして「情報の深まり」と「情報の広がり」の2軸をとって考えてみましょう。下記の図のようにまんべんなく面が広がっていくような情報収集では、時間とお金がいくらあっても足りません。
私の業務で例えれば、細かい仕様などは私も知らないことがあるので、エンジニアに問い合わせます。しかし、時には新たに予算を組んで調査・実験をして調べなければ得られないデータが必要なこともあります。したがって、わからないことをすべて完璧に調べようと手配していては、私もエンジニアもパンクしてしまいますし、締切に間に合わなかったり、ときには社内外のチームワークを乱してしまいます。

他方、効率的な情報収集のイメージは以下のようないびつな形をしています。一部の情報項目については深く掘っていき、それ以外は途中で収集を思い切って止めてしまうのです。

では、どこを深掘りし、どこを止めるべきか、という事が重要となりますが、そこは先程述べた、わかっていること、推定、顧客の反応の3つから判断します。この3つを組み合わせてクイックに情報収集を回すこと繰り返し、短期間で深掘りすべき課題を明らかにしていきます。
その結果、当初の「商談を受けるのか受けないのか、どのぐらいリソースを割くべきか」という、ぼやっとした問題が、「○○という特性を△△の条件下で、□□の予算内で▽▽までに出来るかどうか」という焦点の絞れた課題にまで落とし込むことが可能となり、計画性を持つようになってきます。

決めた答えを正しくする

もはや絶対解が存在しない世の中においては「決める」ことと、決めたらそれが「正しくなるように努力する」ことの方がはるかに重要です。失敗したらどうしよう、間違っていたらどうしようと、どんなに分析を深めたとしても、決めることにおいて不安は常につきものですし、どんなに完璧と考えた判断や計画でも、実行に移したら必ず壁にぶつかります。
ですので、デッドラインまで最善を尽くして自分なりの最適解を出し、それからは突破力に集中しようとう「覚悟」を持つようにしています。

Interview1:学びを振り返って
――社会的価値を伸ばす生き方

そうだ、学びの旅を続けよう

私は元々エンジニアで、BBT大学院に入る前に工学系の社会人博士課程を3年間かけて卒業、スタンフォード大学の客員研究員も二年半過ごしました。
もう学びは終わりだと思っていたのですが、実は長い間、大前研一学長のもとでマネジメントを学びたいと心の奥底で考えていたんです。憧れに近い形だったかもしれませんね。
20歳で初めて選挙権を得たのが参議院選でした。ネットもない当時、限られた情報ソースでどこに投票しようと色々と調べていて、他の政党とくらべて本質的な政策を提言している平成維新の会を知り、そこから「大前研一」という名前を知りました。以来、学長の書籍を読み漁っていました。その過程でマッキンゼー流の本質的問題解決手法やマネジメントの考え方を学べたらかっこいいな、おもしろそうだな、と何となく思うようになっていきました。

2010年秋に博士課程を修了した直後の2011年のお正月、「自分ももう学校通いは終わりました」と何気なく家族に話したとき「やり残していることがあるんじゃないの」という意外な反応が返ってきたのです。正直学びの大変さは痛感していたので、また続けるのも…という迷いがありましたが、やるならストライクゾーンど真ん中で勝負したほうが後悔がないと考え、覚悟を決めました。

MBAで学んだことは知識ではなく学び続ける姿勢

BBT大学院は実践的な学びにフォーカスしていますので、経営の原理原則だけでなく、そのセオリーをどうやって使うか?というアウトプット部分まで一気通貫でトレーニングできます。非常に充実した2年間だったのですが、その中でも最も大きな学びとなったのは、学び続けることの大切さでした。

正直申し上げますと、今回お伝えしたような情報収集の考え方やスキルといった「自分の型」は、卒業後も継続して復習や新規受講をしたり、ビジネス・ブレークスルー大学大学院でTA(ティーチングアシスタント)や講師をしたり、現在の職場環境の中でいろいろな経験をする中で身についていったものです。在学中もその概念は教わっていて、アウトプットを出すなかで鍛えていたつもりだったのですが、それを業務で使いこなせるようになるには、私なりに適した時間と努力と職場環境が必要でした。こういった自分の型は今後も学びを続ける中で進化、発展させていくものだと思っています。ですので、このような知的活動に対して多大な理解を示し、応援してくださる弊社の辻 理(つじ おさむ)CEOをはじめ、サムコ株式会社の皆さんには大変感謝をしております。

これからは社会的価値をさらに高めていきたい

私は「人間の価値」には大きく分けて3つあると考えています。一つは皆さんご存知の通り市場的価値があります。これはお金をいくら稼げるかという価値ですね。そして社会的価値というものあるかと思います。これはお金では測れないものです。例えば、「一緒に仕事をできて良かった」「精一杯がんばってくれてありがとう」などと言われる意味での価値です。もう一つは戦略的価値というもので、それはまだ顕在化していないものの、その個人の中で着々と育まれている根っこみたいな価値です。

私はいま、社会的価値と戦略的価値を高めるような取り組みに注力したいと考えています。ビジネス・ブレークスルー大学院でTAをやっているのも、母校への恩返しがしたいということだけではなく、この2つの価値を高めたいと思っているからです。現在は年収がいくらほしいとかこの立場になりたいとかの市場的価値は少し脇に置いているところです。人生という長いスパンで見たとき、自分の社会的価値を高めることがいずれかけがえのないリターンになるという考えを持っていますし、TAを通じて学びを続けていけば、きっとどこかで社会的価値や市場価値の形で顕在化するものと信じてやっています。

自分は経営者でもないのに大前研一学長の経営戦略系科目でTAを担当しており、昔はどこかおこがましい気持ちや自分で本当に良いのかという葛藤がありました。
しかしながら、学生の方から「菅原さんのおかげで学長が言いたいことがわかりました」「学びと仕事の連携の仕方がわかるようになりました」と言われることが増え、徐々に自信がついてきました。それに伴い、社会的価値が少しは高まったかなとも感じます。今はある意味「プロ」のTAとして、大前学長の考え方を丁寧にわかりやすく、かつ実社会で効果が出やすいように受講生に伝えることが、自分の社会的な務めだと捉えています。

BBT大学院には「Lifetime Empowerment」という標語があります。これは「生涯活力の源泉」という意味です。大前学長的に言い換えれば、「一生学び続けろ!」ということでしょうか。その言葉を信じて、戦略的価値も引き続き高めていきます。

問題解決思考ワークショップの講師として登壇

Interview2:周囲の評価
――学びを実務に活かしているMBAホルダーを見て


菅原 いずみさん / 菅原さんの奥様

妻だけが知る!BBTに取り組む夫の様子

BBT大学院のMBAを通じて夫は様々な面が変わりました。
先の本人のインタビューでは主にビジネス面の考え方に焦点が当たっていたので、私からは彼のプライベートの面を、いくつかお話ししたいと思います。夫は自分が決めたことは最後まで手を抜かずやりきらないと気のすまない性格です。ですので、BBTで徹底的に学ぶには、仕事との両立をどうしたら良いのか苦心していました。もともと探求心が旺盛で、トライ&エラーを繰り返すことを苦とも思わないようでしたが、傍で見ていて呆れるくらい色々な勉強方法を試していました。タイムスケジュールのチャート表を作成しインターネットのツールを活用してみたり、ブレインストーミング風に講義ごとにまとめたり、ボールペンと鉛筆とシャーペンのどちらが良いか、ノートの使い方もタテが良いかヨコが良いか(笑)、どうしたら効率良く学べるかを模索しながら、BBTの課題に向き合っていました。
現在夫は、大前学長科目のTA(ティーチングアシスタント)を担当させていただいているのですが、そんな自身の多種多様な経験が、学生さんの立場に立った気づきやアドバイスに役に立っているのではないかと思います。
また、BBTで学んだリーダー論を活かし、会社やBBT、日常生活でも、どのようにアドバイスをすれば相手にとって最善の気づきになるのか、どんなアプローチから話を持っていけば相手のモチベーションをあげられるか、以前の彼からは想像もできないくらい周りをよく観察し、相手の性格や考え方を理解し、その時々で対応を変えるようになった気がします。
無意識だと思いますが、私に対しても同じように「観察⇒ヒアリング⇒アドバイス」を仕掛けてくるので時々イラッとしてしまうのですが、結果がついてきてしまうので「すごいね、ありがとう」と言うしかありません。

人付き合いが変わりました

BBTに入学する前は、この人は意外と一匹オオカミ的な性格だな、それでは行き詰まった時に助けてくれる人はいるのかな、と不安になることがあったのですが、その性格は在学中から少しずつ変わりました。
これはBBTを通し、同じ目的の中で膨大な課題に向き合い、励まし切磋琢磨した仲間を得たからだと思います。あまり人脈作りが得意でない彼でしたが、エアキャンパスという新しいツールが人間関係や友情を築き上げるのに一役買っていたと思います。そしてそれは、卒業後には何物にも変えがたい宝物になっていたようです。傍らで見ていてとても羨ましく思えました。
今でも同期の方やBBT出身の方とは、よく連絡を取り合い、時間があれば会うなどして情報交換をし、励まし合っているようです。以前とは違い、高いレベルで相談でき、助けてくれる仲間を多く持つことができたことは、彼の強みになり、自信に繋がっているように見えます。大人になってからそういう仲間を作ることができることは、BBTならではですね。
常に前向きで、何事も諦めず、なんでも吸収したいという意欲で学びを続けている夫を見ていると、すでに40代中盤に差し掛かるにも関わらず、これから先が楽しみに思えてなりません。

夫との会話を通じて覗くMBAの世界、気づいたら興味津々

それともう一つ大きな変化があります。それは受講前と比べて社会や経済の話をするのがとても楽しくなったことです。BBTの受講を始めるときっと時間がなくなりコミュニケーションの量が減るのだろうな、と想像していました。まとまった時間をとることは確かに難しくなったものの、食事をしながらの会話や、RTOCSでテーマになった店舗や自治体へ実際に行って意見を出し合う、など以前には想像したことのない次元の、濃く充実した時間を過ごすことができるようになりました。
また、夫が勉強する傍でRTOCSや講義を聞いていると、情報量や知識量がどんどん増えていき、私自身興味が沸き、気づけば自然と夫の学びを応援したい気持ちが増していました。

本人からしたらBBTでの学びは驚きと発見の連続だったのでしょうね。話さずにはいられないというか… ただでさえオンラインディスカッションでのアウトプット量が多いのに、家庭内でもまだアウトプットするのか?と思うこともよくありました。本当によく話すこと、よく話すこと!学んだこと、考えたことを一度口に出して、つまり言語化することで本人は頭の中を整理していたのだと思いますが・・・
常に学んだこと、考えたことをすぐに「話したい」、「実践したい」、という性格なので【学び→実践→効果】について逐一話してくるのです!小学生が今日学校であったことを母親に一生懸命話す姿に似ていて、子育て中の義母は大変だったろうな、と思ったくらいです。それでも私にとっては普段の生活では知り得ないMBAの世界を垣間見られること、耳学問的ではありますがちょっとお利口になったような気にもなれて、刺激的なインプットになりました。RTOCSなど、想像の上をいくような話が今も色濃く記憶に残っています。

夫には心からよくやったね!と言える、私も本当に充実した日々でした。

そしてBBTを通して、今もわくわくは続いています。夫は卒業後TAとして現役の受講生に対して学びをサポートしたり、議論のファシリテートをしたりしています。
現役時代と同じように、オンラインディスカッションでの出来事を今もよく話してくれます。また、受講生との接し方を相談されることもあります。「ちょっとストレートに言い過ぎたかな…どう思う?」など。それに対して私は思ったこと、感じたことを伝えるようにしています。夫はそれをしっかり受け止め、消化し、次のフィードバックに活かしてくれます。単なる聞き役としてだけでなく、夫の役に立ち、そして間接的には受講生の皆さんを応援している形になっているのかな、と思えることがあります。ですので、BBTの修了生が増えるととても嬉しいのです。
またBBTに関して「私、得しているな」と思えることがあります。それは大前学長の「大前研一ライブ」です。夫が視聴している隣でこっそり学長の話を聞いていると、リアルタイムの世界情勢や経済がとてもよくわかるのです。世の中の新聞やニュースは、物事の本質を理解しきっていない人が書いているのか、表面だけしか見ずに伝えているのかよく分かりませんが、大前学長が説明するといとも簡単にわかりやすく理解できてしまうから不思議で楽しいのです。さらにお堅い話だけでなく、ワインや日本酒などのお酒の話や、おしゃれなグロッサリーストアの情報など主婦としてとても関心がある話題も出てきて、とにかく面白いのです!

お金の心配がなくなった

これは、お金が沢山たまったというのではなく、夫がどんな状況でも稼ぐ力を身につけてくれた気がして、安心感が得られたということです。
変化が激しく、かつ100年生きる時代がきていると言われる社会において、BBTで得た様々な能力や人脈はとても心強く感じています。実際、以前だったらへこたれたり、無理をしてしまうような状況を精神的に安定した状態でつき破ったり、適度にかわしている様子が伺え、力強さとしなやかさが増したように思います。

一言で要約すると、BBTのお陰で夫婦ともどもとても充実しています。私たちの世界は想像以上に広がり、多くのご縁もいただいています。ですから夫にもBBTにも、心からありがとう!と思えるのです。